【博物館・美術館向け】Sketchfabの利用料についての解説(2022年7月時点)(2024年11月追記)

Sketchfab利用上の注意点について(2024年11月5日追記)

Sketchfabの利用について、特に博物館や美術館の方向けに新たに注意事項が発生したため追記させていただきます。

2024年10月にSketchfabを含むEpicGames(Sketchfabの運営会社)が運営する3D関連サービスを統合した新サービス「FAB」への統合が行われる、というリリースが流れました。

Fab がリリースされると、Sketchfab ストアが Fab に置き換わり、Sketchfab でアセットを購入または販売できなくなります。クリエイターが Fab に移行したモデルは、Sketchfab で引き続き表示され、潜在的な購入者がコンテンツを購入できる Fab へのリンクが表示されます。Fab に移行されていないストア モデルは、Sketchfab で引き続き表示できますが、購入またはダウンロードすることはできません (以前に購入したユーザーを除く)。移行されたアセットについては、全体的な星評価は Fab に移植されますが、Sketchfab ストアが閉鎖されると、Sketchfab のすべての評価とレビューは削除されます。
引用:https://sketchfab.com/blogs/community/fab-publishing-portal-open-for-sketchfab-migration/
※原文は英語、日本語は機械翻訳によるもの

簡単にまとめると、Sketchfabを閉鎖してFABに統合する、というリリースです。それだけであればサービス移行の手続きをすればいいのですが、以下のような問題点があります。

現在 CC0、CC BY-ShareAlike、CC BY-NonCommercial、または CC BY-NoDerivatives でライセンス可能なモデルは、これらのライセンスが現時点では Fab に存在しないため、これらのライセンス タイプで Fab に移行することはできません。Fab がライセンス オプションを変更して、より幅広い CC ライセンスを許可するようになった場合は、コミュニティにお知らせします。Sketchfab の他のすべての無料コンテンツと同様に、これらのモデルは、Sketchfab でライセンスが完全に利用できなくなるまでダウンロード可能です。ライセンスが利用できなくなると、モデルは引き続き表示できますが、Sketchfab でダウンロードできなくなります。
引用:https://sketchfab.com/blogs/community/fab-publishing-portal-open-for-sketchfab-migration/
※原文は英語、日本語は機械翻訳によるもの

Sketchfabを利用している博物館や美術館では「CC-BY」やCC-BY-NC」などのライセンスで3Dモデルを公開している場合が多くあります(国内に限らず海外も同様)。しかしFABでは現状(2024年11月5日時点)、これらのライセンスに対応していないのです。
今後、対応予定のようですが対応したらしたらで今度はSketchfabからの移行をしなければこれまでのようにダウンロードできない状態になってしまうようです。

結論:現状はできるだけ情報収集と状況の注視をすべき

現状をまとめると、2025年中には、SketchfabからFABにサービスが移行するのでアカウントの移行手続きがどうやら必要になるようです。しかし、現状のFAB(アカウント作成はすでに可能)では、CC-BYやCC-BY-NCなど多くの博物館や美術館などが利用しているライセンスでの公開ができない状態です。
そのため「今の時点で移行手続きをすると、これまでのような公開ができなくなる」一方で、「2025年中には移行手続きをししないとSketchfab上でダウンロードできなくなる」状態になってしまっています。

また、具体的にFABへの移行手続きがどのくらいハードルが高いことなのか(作業量や作業の難易度など)も不明なため状況を注視する以上のことがやりづらいのが現状です。公式のリリースでは自動的に3Dモデルが移行できると書かれているのですが、FABで対応している3Dモデルのファイルデータの種類はSketchfabよりも少ない(例えばSTLデータはSketchfabは対応しているもののFABの方は未対応のようです)などの懸念点もあります。

このような状況であるため、現状はあまり積極的にSketchfabの運用はしない方がいいと考えています。その期間は少なくとも、FABの方でクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC-BYやCC-BY-NCなど)に対応するまで、可能であれば3Dモデルデータの移行に関するノウハウがある程度蓄積されるまでの期間であり、それが2025年中(Sketchfabからの移行期限内)に完了するか不明です。

すでにSketchfabで3Dモデルデータを公開している場合は再アップロードにそなえたデータの整理をする

すでにSketchfab上に3Dモデルデータを公開している場合、最悪それらの3Dモデルはすべて再アップロードが必要になる可能性があります。現時点でできる対応としては、それらの3Dモデルデータが手元にない場合はSketchfabからダウンロード(アップロードしたアカウントでログインすれば「Edit model」から「Download your model」で自分のアップロードした3Dモデルデータをダウンロード可能です)し、手元に整理しておくことです。
※この操作は3Dモデルをアップロードしたアカウントでのみ可能です

路上博物館としての今後の対応

路上博物館としては今後、Sketchfab及びFABに関する最新情報の収集、FABへの移行ができるようになった場合は実際の移行手続きのノウハウ収集とそれらを活かした博物館・美術館向けの支援を行います。
現時点で、今後の3Dモデルデータの活用方法などでお困りの場合も相談に乗ることができます。博物館や美術館、大学等でこれらの件について相談したい場合はお問い合わせフォームよりご連絡ください。

2024年11月5日追記ここまで

路上博物館ではよく全国の博物館や美術館から「Sketchfabを使いたいが、年間利用料がネックになっている」というご相談をいただきます。
そのたびに「Sketchfabには博物館・美術館向けの無料または割引ライセンスがあります!」とご案内しているのですが、もう少し丁寧にご案内すべきと考えこちらにまとめました。
この情報は公開日時点のものですので最新情報は該当ページをご確認いただく必要がありますが、参考までにご覧ください。

2024年1月26日追記:本日、調べてみたところSketchfabの博物館向け割引の新規申し込みが停止されていました。最新情報はこちらのSketchfabのフォームまたはSketchfabの公式サイトを御覧ください。

申請の流れ

博物館・美術館用のライセンス(プログラム名:Cultural Heritage & Non-Profit Program)は下記のURLのフォームから申請することができます。申請するためには事前に無料のSketchfabアカウントを取得する必要があります。Sketchfabのアカウント作成の手順はこの下で解説しています。
※Sketchfabのライセンスの取得のためにはメールアドレスとパスワードが必要です

Sketchfabのトップページにアクセス
画面右上にある「Sign Up」をクリックしてください。

URLとメールアドレスを入力
自分のSketchfabのアカウントに使う任意のURLとメールアドレス、パスワードを設定します。チェックボックスにチェックをして「CREATE ACCOUNT」をクリックすると登録したメールアドレスに確認メールが届きます。そのメールの確認ボタンを押すとアカウント作成は完了です。

博物館や美術館が割引・無料ライセンスを利用するための申請のためのフォームはSketchfabの料金表ページ(https://sketchfab.com/plans)の中にあります。
ページの下の方、ほぼ一番下にある「Frequently Asked Questions」の項目の中にあります。画像の赤枠の中にある青文字が該当リンクです。この青文字をクリックすると申請フォームが開きます。

割引の内容

日本の博物館・美術館の場合は年間の収益の金額によって受けられる割引が変わります。年に100,000ドル(執筆時点では13,677,900円)以下の場合は無料ライセンスが発行されます。これ以上の場合は割引が適用になります。

どの程度の割引を受けられるのかはウェブページ上に記載されていないので不明です。ただ、博物館・美術館向けではない別の教育用プログラムでは45%割引が適用されることがウェブサイトに記載されています。恐らくこのくらいの割引なのではないかと思うのですが、確証はありません。いずれにせよ申請をした結果、割引の提供対象になれるのであれば経費削減にはなるので申請することのデメリットは特にないはずです。

Sketchfabのライセンスの種類の違い

Sketchfabのライセンスは通常4種類あります。
1.BASIC:無料ライセンス
2.PRO:月額$15(年契約の場合)
3,PREMIUM:月額$79(年契約の場合)
4.ENTERPRISE:要問合せ
多くの場合はBASICまたはPROアカウントのどちらかで十分に対応可能です。BASICとPROの違いで特に気にするべき要素には以下の2つがあります。

Sketchfabに投稿した3Dモデルは、Sketchfabのアカウントを持つ人であれば誰でもダウンロードすることができます。
このダウンロード機能を制限したい場合、1ヶ月あたりに制限した状態で公開できる3Dモデルの数に制限が発生します。無料のBASIC版は月に10モデルまで、PRO版になると月に50モデルまでです。
ただしこの制限はダウンロードができる状態で3Dモデルをアップロードした場合は該当しません。

無料のBASIC版は非公開と公開の2種類しか公開方法を選択できません。URLを知っている人しか閲覧できないプライベート公開モードを使うためにはPRO版以上のライセンスが必要になります。
またプライベートモードではさらに閲覧パスワードを設定することも可能です。例えば公開前に関係者に確認を依頼したい時などは非常に便利な機能です。

路上博物館では博物館・美術館のSketchfab運用のサポートをしています!

路上博物館では全国の博物館や美術館、動物園・水族館などがSketchfabを運用する際のサポートを行っています。導入方法がわからない担当者向けの相談や運用、活用に関するコンサルティング業務も承っています。また標本や収蔵資料の3Dモデル制作から公開までの一気通貫した業務も行ってきた実績がありますのでお気軽にご相談ください。

免責事項:本投稿の内容は2022年7月27日時点のものです、内容はSketchfabの最新情報を必ずご確認ください。

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