真鶴町民俗資料館【閉館DB】

真鶴町民俗資料館

基本情報

所在地:神奈川県足柄下郡真鶴町岩596

開館年:1986年

閉館年:2024年9月30日

展示されていた物

真鶴町民俗資料館は岩地区に住んでいた土屋文雄氏の厚意により開設された資料館でした。土屋家の旧宅を利用し、土屋家の家紋入りの台所用品や家具、美術工芸品、地場産業でもある石材・漁業関係の資料が展示されていました。
収蔵資料数は約650点(根拠)であったそうです。

閉館理由

タウンニュース神奈川県版によると、収蔵品の適切な管理や施設の活性化を理由に閉館が決定したようです。

2019年に町の所有物となり、土日祝日に無料で開館していたが、収蔵品の適切な管理や施設の活性化を理由に閉館が決定した。
引用:真鶴町民俗資料館が閉館

資料館の運営は神奈川県真鶴町の真鶴町教育委員会が行っていたようです。

根拠:真鶴町民俗資料館条例

資料館の閉館に伴い真鶴町民俗資料館の運営に関する「真鶴町民俗資料館条例」の廃止が決定しました。この会議は令和6年9月13日 総務経済常任委員会で取り上げられました。
この委員会では、閉館の理由は資料館の修繕が必要であるものの(動画20:00頃)その費用が捻出できないために閉館することになったと言われています。
また、収蔵資料の保管場所についてはこの委員会の時点では未定とのことでした。

引用:真鶴町が閉館予定の民俗資料館、条例廃止案が議会常任委で可決
令和6年9月13日 総務経済常任委員会

閉館の原因となった施設の管理(老朽化)に関しては、真鶴町の令和 5年 第3回定例会(第1日 6月 1日)にて議論がされている議事録を見つけることができました。

※太文字は路上博物館編集部分,真鶴町民俗資料館に関する部分のみ抜粋

No.10 議員(村田知章)
まず1題目の表題として、文化財保護についてです。どうすれば、真鶴町の歴史や文化を守り、継承していくことができるでしょうか。例えば、石材業の発展とともに歩んできた真鶴の歴史的な建造物といえば、現在の民俗資料館です。土屋家の旧宅をそのまま利用して、往年の美術・工芸品を多く所蔵しています。ですが、老朽化も進み、町としても維持管理に財政的な負担が大きくなってきているのは周知の事実です。せっかくの町の財産である民俗資料館を老朽化していくままにしてもよいものでしょうか。民俗資料館の他にも、町内には歴史的な価値の高い建造物もあると思います。もちろん、私有の物件も含まれるので、所有者の意向も伺わなければならないものですが、十分に検討すべき建造物があると思います。そういった建造物について、町の財力で維持管理が難しいのであれば、文化財として登録申請をする手段もあると思います。文化財として登録を受けることができれば、国、県からの補助等を見込むことも可能です。町として、文化財指定登録についてどのように考えていますでしょうか。また、町内で文化財に申請して登録される見込みの高い建造物がどの程度あるとお考えでしょうか。

No.12 教育長
例えば村田議員御指摘の民俗資料館について少し説明をさせていただきますと、令和元年度に土地、建物ともに土屋家より町が購入したもので、土屋家は初代当主の大次郎氏の時代から、町の石材業の発展だけでなく、歴代の当主の方々から、貴重な美術品や歴史的価値のある資料のほか、多大な寄附をいただき、町の文化教育の発展に寄与されてきたと聞いており、民俗資料館は、そのような土屋家の功績と町の石材業の発展を伺い知ることができる重要な施設であると認識しています。
 また、建物は明治25年に建てられたものであり、令和2年12月には県教育委員会文化遺産課立会いのもと、文化庁の調査を受け、建物自体の歴史的価値と土屋家代々の土地、家屋であったことを踏まえて、歴史的建造物として、国に登録し、保存すべきものとの見解を受けています。町の文化財審議委員からも、令和3年2月の委員会の中で、町、特に岩地区の石材業の歴史を見ることができる建物として、現在の場所に保存すべきであるという意見をいただいています。しかしながら、この場所は、津波発生の際の浸水地域に指定されていること。また、財政面も含め、町として岩地区全体の再整備に向けた協議を始めようとしていることなどから、大がかりな修復作業には至っていない現状があります。
 教育委員会としても、老朽化する建物に対して、そのまま静観するつもりはなく、可能な範囲ではありますが、必要に応じて改修を行うとともに、歴史的建造物としての国や県への登録については、岩地区全体の再整備に向けた協議に合わせて検討していきたいと考えています。

No.13 議員(村田知章)
 再質問させていただきます。まず1番目の文化財保護についてです。答弁にありますように、民俗資料館は、令和2年12月に県教育委員会文化遺産課立会いのもと、文化庁の調査を受け、建物自体の歴史的価値などを踏まえて、歴史的建造物として、国に登録し、保存すべきものという見解をいただくほどの評価をいただきながら、未だにその方向性が決まっていないのはなぜでしょうか。また、岩地区全体の再整備に向けた協議に合わせて検討していきたいということですが、その協議はいつから始まって、いつごろに結論を出す予定なのでしょうか。

No.14 教育長
 御質問ありがとうございます。民俗資料館の国の指定については、このように聞いております。実際にどういう経緯があって今に至ってるかについて、詳細については私も存じてないところがありますけども、津波発生の浸水地域に指定されていることで、なおかつ、なかなか町の財政的な部分から、大がかりなものができなかったものと認識しております。また、この後の岩地区全体の再整備に向けた検討でございますけども、それについては私からは特に述べられません。

No.15 政策推進課長
 岩地区の再編計画につきましては、以前は進めていた部分もあるんですけども、現在その部分については検討が進んでおりません。今年度、そういった部分で検討を進めていくような形で始めておりますので、それについてはまた、進み方についても追って相談させていただければと思います。

No.16 議員(村田知章)
 今の答弁ですと、岩地区全体の再整備計画、まだ未定みたいな形で、いつ終わるかもわからない。そうなってくると、民俗資料館自体、かなり老朽化が進んで、かなり痛んできているのはもう目に見えてると思います。貴重な品々も保管されていることから、小規模な改修だけではなく、大がかりな修復作業が早急に必要ではないでしょうか。全体の再整備計画というのもわかるんですけれども、それを待っていたらいつまで経ってもそのままの状態が続くという感じになってしまいますよね。なので私としては、いつ頃を目途にやっていくのか、ということをお聞きしたいんですけれども、そこら辺どうなんでしょうか。

No.17 政策推進課長
 その部分を含めまして、スケジュール感を含めて検討していくという状態でございますので、御理解いただければと思います。

No.18 議員(村田知章)
 ぜひ、もう目に見えて本当に老朽化が進んでますので、早急に進めていただきたいと思います。
 もう一つ。民俗資料館以外にももう1軒、文化庁の調査の中で、歴史的建造物として、国の登録を受けるべきという意見をいただいているということですが、この件で、諸条件を整える必要があるということで登録に至っていないということですが、その諸条件というのはどういった条件なのでしょうか。

引用:令和 5年 第3回定例会(第1日 6月 1日)

閉館に関する情報については真鶴町の町会議員である加藤りょう氏のnoteにも記述がありました。

https://note.com/ryo_kato1026/n/nc77f53714f3d

閉館後の動き

閉館後の動きとしては、令和6年9月13日 総務経済常任委員会でも話題にあがった民間事業者である株式会社エンジョイワークスで行われていくようです。この取り組みは神奈川県真鶴町と株式会社エンジョイワークスが2024年9月28日に締結した包括連携協定に基づくもののようです。


画像引用:https://hello-renovation.jp/news/detail/25207

すでに第1回のイベントは開催されたようですが、2025/1/11(土)AM、2025/2/1(土)AMにも開催されるようです。

閉館情報データベースとは?

路上博物館の独自調査によって日本のミュージアムの閉館件数が増加している可能性が高いことがわかりました。このような「誰にも注目されずひっそりと閉館が進む状況」を「サイレント閉館」と名付け、より多くの人々がこの状況に気づくきっかけを作ることを目指すプロジェクトを立ち上げました。

閉館ミュージアム情報データベース」はこの調査の過程で発見した全国のミュージアムの閉館情報について収集・公開することを目的としたものです。

※ミュージアム:博物館、美術館、水族館、動物園、植物園、科学館、資料館などの施設

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